2010年9月25日

Touch the Sound

先日、友人から『Touch the Sound』という映画のDVDを貸してもらった。
エヴリン・グレニーという音楽家のドキュメンタリーで、僕は教えてもらうまで全く知らなかったのだけれど、幼い頃に聴覚を失いながらも、今も現役で音楽活動を続けているパーカッショニストのよう。
工場跡地でのフレッド・フリスとのレコーディング(即興演奏)を中心に、インタビューや世界中で演奏する様子を織り交ぜ、彼女がどのように音楽をとらえているか・関わっているかという部分を映していて、演奏自体にとどまらず、その生き方にもハッとさせられるところの多い、良い映画だった。
インタビューの中で、耳だけで音楽を聴いている人が多すぎると思う、音はもっと身体全体を通して聴くものだと語っていた。(映画のタイトルにもなっているように)音には触れることだってできるんだ、と。その演奏もそれを証明するかのような、というか、そういう意識があるからこそ出来るんだろうなと思わせる、力のある演奏だった。他にも挙げればきりがないくらい、それぞれの場面に印象に残る言葉や音はたくさんあったけれど、全体を通して思い知らされたのは、音(楽)は今の自分がとらえられているよりも、もっとずっと豊かなものだということだった。
“もし自分が楽器を演奏することが出来なくなったとしても、音楽家であることはやめない”


その言葉と声に触れて、ああ、本当の音楽家っていうのはこういう人のことを言うんだな、とひしひしと感じ、また、自分のちっぽけさを思い知った。確かフレッド・フリスが言っていたと思うけれど、子供の頃に感じた好奇心を失わずに、それを人に伝えていけることが大切なんだろう。子供の頃には、自分にも、確かにもっとあったはずのもの。着実に歩みを進めることで、取り戻していきたいものだと思った。
…などというと少し堅苦しいかもしれない。とにかくただただ音を聴くことへの関心・楽しさがよみがえってきたというほうが近いのかも。
映画を紹介してくれたドラマーM氏に感謝。デュオでの演奏は諸事情でしばらくお休み中ですが、来年中には心機一転きっと再開したいと思っています。

----------------


あと、これは余談ですが、
フレッド・フリス、病院で肺カメラ突っ込まれた時の自分の呼吸にヒントを得て、弦楽四重奏のオープニングを作曲したらしい。肺カメラされながら必死で楽譜書きなぐったよーみたいな話をニコニコするその姿はかなりクレイジーで、これまた凄いなと絶句でした。

2 件のコメント:

  1. 公開当時、渋谷イメフォだったかユーロだったかで見たなあ。一緒に観に行った子もえらく気に入ってたのを思い出す。

    返信削除
  2. 映画館のスケールで観ると、いっそう良い体験だろうなあ…この映画は誰かと一緒に観るのもいいですね。

    返信削除