12.06

すっかり寒くなって、毎朝通る道の景色も冬らしくなった。
街路樹が禿げて空が広がり、冬の冷たく澄んだ空気と相まって、
自分の内側にまで、ぽっかり空白が広がっているように感じる。
この季節になると、アンドリュー・ワイエスの描いた絵が
心のどこか一部分を占めている。
始めてその作品に触れたとき受けた印象を、
音楽で描くことが出来ればといまでも思っている。

先週、『シャトー・ブリアンからの手紙』という映画を観た。
いまの自分の暮らしを失うのが怖いと、
少しずつ身をもって実感するようになってきたからこそ、
映画が描いた世界を直視しようと思ったのかもしれない。
けれど、実際の自分はそうじゃない。
自分のおそれは、とてもちっぽけだけれど、
それさえ直視するのが怖い。
もっとつまらないもので、いつも気を紛らわせて逃げてる。

本当の芸術は、その人間が表現されているものだと思う。
順序が反対だな。
芸術家のような人たちは、
いなくなった後も存在を残し続けることがあるが、
それは、憧れはしても、真似るべきものでもなければ、
唯一偉大なものの証明でもないとも思った。

でも、本当はそう思い切れていない。
ふりをして、ただ勘や嗅覚を働かせているにすぎない。
いつになったら本当に分かるのか。
大切なものが失なわれるのを直視するときか。
どんなに深刻ぶってみても、わかるひとにはすぐわかるものだ。
自分自身にもわかる。

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